傷つくのが怖いから
松山市にやってきた。漱石の『坊っちゃん』の舞台として有名な街。正岡子規が街に根付いていて、いたるところに句が見られる。「坊ちゃん電車」なるものが走っているらしく、それも明日の楽しみ。
さて、明日この街で、寺山修司の実験精神を引き継ぐ劇団、万有引力による市街劇『人力飛行機ソロモン』が展開される。この演劇のチケットを出発前に入手したのだが、そこに記されているのは会場とか開演時刻などではなく、「本券と引換えに開催場所の詳細が書かれた地図やお面をお渡しします。」の一文。
つまり、このチケットは劇が行われている場所で提示するわけではなく、むしろ「劇が行われている場所を知るために」必要なのである。そしてお面を渡されるというのは、「観客であるな、参加者たれ」というメッセージであろう。面をかぶって、虚構的存在の仲間入りをせよ、ということだろうか。想像が膨らむ。
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