傷つくのが怖いから

 松山市にやってきた。漱石の『坊っちゃん』の舞台として有名な街。正岡子規が街に根付いていて、いたるところに句が見られる。「坊ちゃん電車」なるものが走っているらしく、それも明日の楽しみ。

 さて、明日この街で、寺山修司の実験精神を引き継ぐ劇団、万有引力による市街劇『人力飛行機ソロモン』が展開される。この演劇のチケットを出発前に入手したのだが、そこに記されているのは会場とか開演時刻などではなく、「本券と引換えに開催場所の詳細が書かれた地図やお面をお渡しします。」の一文。

 つまり、このチケットは劇が行われている場所で提示するわけではなく、むしろ「劇が行われている場所を知るために」必要なのである。そしてお面を渡されるというのは、「観客であるな、参加者たれ」というメッセージであろう。面をかぶって、虚構的存在の仲間入りをせよ、ということだろうか。想像が膨らむ。

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壜を見るな、むしろ壜たれ!

 寺山修司土方巽横尾忠則などを中心に、鳥居みゆきから外山恒一まで、アングラ演劇的な表現者たちの魅力に迫る。単なる「好きなもの紹介」を超えて、このジャンルの現代的な意義を引き出すことができれば、と思っている。


 早速だが筆者は明日、万有引力人力飛行機ソロモン 松山篇」のために愛媛へ発つ。
 http://www.banyu-inryoku.net/main/main.htm
 
 水曜日に帰る。帰ってすぐに、村上隆氏の話を聞きに行く。